遠い目をして机に突っ伏したあたしを、きゃらきゃら笑いながらロゼが叩いた。


「ももちゃむってばもう!そういうことはさー早く言ってよ!」


どんがらがっしゃんな惨事を?
言うわけない。
そもそも、学校到着だってぎりぎりだったし、疲労困憊で眠かったし、転校生だってしっかり確認してなかったのに。


「直人だったら、ももちゃむ特別にあげてもいいよ!」
「……はあ?」


何の話だ。
しかも『あげてもいいよ!』って、どうして上から目線なのロゼ。


「てか、直人って誰?」
「俺」


御崎くんが、笑顔ばっちりと軽く手を挙げた。


「御崎直人(みさきなおと)っていうの。聞いてなかったでしょ」


ごめんなさい、全く聞いてませんでした。


「……えーと、ご、ごめ」
「ももちゃむって可愛いね」
「……は?」


突然の切り返しは理解不能で、そしてまた、密かなる波紋を呼ぶ気がした。