「うう──……」


立ち上がって今すぐにでもこの場から去りたいけど、とにもかくにも膝が痛い。
笑ってる、膝まで笑っちゃってる。

今のあたし、世界で一番、無様で惨めな十五歳かも……


「あの、大丈夫?」
「……へえ?」


誰かの声が、上からした。
何だかいろいろパニック大混乱なあたしは、泣きそうで間抜けな声でしか返事が出来なかった。


「あ、えっと……ちょっと待って」
「はあ……」


顔が上げられない。
ていうか、この人、何で声掛けてきたんだろう。

ちゃんと脳味噌が機能してないあたしは、まだ、よくわかってなかった。
倒れたあたしの体を少しだけずらして、自転車を立て直して、それからあたしに手を差し伸べてくれるまでは。

そこまできて、ようやく気づく。


「大丈夫?」


この人、あたしを助けてくれたんだ。