「美咲、おはよー!」 彩香が軽やかな足取りでわたしに声をかける。 「おはよ、彩香」 彩香に挨拶を返しながら二人で校門をくぐった。 「美咲、昨日はいろいろ話を聞いてくれてありがとね!」 「ううん、こっちこそ」 昨日、鏡の前で紅いリップをつけようとしたけれど、結局つけられなかったわたし。 無意識のうちに親友の唇に目がいってしまう。 真っさらな唇から零れる他愛のないやりとりにどこか安心してしまうわたしがいる。 ・