手に取るのも躊躇われて、ママの事をちらっと見た。 ママの横顔はうっすらと綺麗な色がちりばめられていて。 ママの綺麗な顔を美しく彩っている。 『綺麗だな』 そう思いながら化粧品コーナーにまた視線を戻して、憧れるように並べられた色を眺めた。 ふと目についたのは、『色つきリップ』。 目が離せず、思わず手を伸ばしたのは少し大人の、紅い色だった。 銀色のケースに包まれた紅い色はとても鮮やかで 「素敵……」 そう思わず呟いた。 ・