色つきリップ〜紅い唇〜

 


「ただいま〜」


玄関から聞こえたママの声に急いで涙を隠して


「おかえり!」


笑顔を作った。


「美咲、勉強してたんだ。偉いね」


罪悪感でママの笑顔すらうまく見れない。




『わたし、勉強する意味がわかんない』


『わたし、友達のこと『ズルイ』と思ってしまったの』


『わたし……今日初めてキスしたよ』




「美咲?どうしたの?」


わたしの顔を覗き込んだママが心配そうに聞いた。


「……シャープペンシルの芯が無くなっちゃったから、買ってくるね」