色つきリップ〜紅い唇〜

 


「……」


彩香の言葉を待つ時間は


とても長くて


ザワめく胸が止まらなくて


ああ


わたしはなんてズルイんだろう


『別れる』


その言葉を


親友の恋が終わる言葉を


ドキドキしながら


待ってるわたしは……


「……真治とは別れないよ」


「え?」


願っていた正反対の言葉に思わず聞き返した時、


「だってわたし……真治も好きなんだもん」


足が震える。


「そんなこと……出来るの?」


自分のことを棚に上げて、彩香を追い詰める言葉を口にする。