瞬間


大野の表情が少し悲しげに見えて


「……今年はカッコイイ姿、見せてやるよ」


大野がそう言って、わたしの頭の上に手を置く。


「お前、オレに惚れないように気をつけろよ!」


そのまま


くしゃくしゃにされた髪の毛。



その手のぬくもりに


少し


はぐらかされた気がして、目を伏せた。


「なあ、美咲」


「……なに?」


「お前……斎藤と付き合うつもり?」



わたしには


大野の言葉に傷付く資格もない……?


心臓が、チクリと痛んだ。