色つきリップ〜紅い唇〜

 


ベンチに集まったプレーヤー達が大野の手首を心配する。


大野は「大丈夫だ」と何度も頷いて、わたしからタオルを受け取って汗を拭く。


「残り時間は?」


「多分……1分もないです」


時計を見ながら桃ちゃんが答える。


スコアは35VS22。


「1点でも多く取るぞ。3点、打って打って打ちまくれ!」


「ヨッシャ!」


大野の声に、部員達が答える。


タイムアウト終了の笛の音。


「見てろな、決めるから」


大野は真剣な顔でわたしにそう言うと、またタオルをわたしに渡す。


「……うん」