色つきリップ〜紅い唇〜

 


相手チームのゴールが決まり、速攻のオフェンス。


流れるパス。


「そのまま!」


「シュート!!」


この、一瞬一瞬に夢中になる。


何も考えられず真っ白になってただ、叫んでしまう。


流れる汗も
息遣いも
ボールを追いかける姿も


この場所にいられる奇跡に、泣きそうになる。



リングから外れたボールに大野がジャンプして手を伸ばした。


その時、




鳴り響く笛の音と一緒に、大野が右手を押さえて倒れ込む。


「ファール!4番フリースロー」


審判の声に、ベンチが叫んだ。


「タイムアウト!!」