色つきリップ〜紅い唇〜

 


「美咲」


斎藤くんの背中を見送ったまま立ちすくむわたしの後ろから声がした。


その声に振り返り大野と目が合った時


張り詰めた糸が切れたように、涙が零れた。


俯いたまま泣いているわたしを引き寄せて、黙って胸を貸してくれる大野。


泣きたい


泣かせて





好きになるのは簡単なのに
好きな人と結ばれるのはなんて難しいの


望んだ答えが出てくるとは限らない


好きな人と結ばれても『完璧』なハッピーエンドなんてない


誰も傷つけたくなかった
誰も悪くなかった