色つきリップ〜紅い唇〜

 


「待ってよ、大野」


歩幅の広い大野に追い付こうと小走りしながら、大野の大きい背中を追い掛ける。


手の届く位置まで近付いて、大野の腕に手を伸ばそうとしたその時、


『気安く男に触るんじゃねえよ』


昨日の大野の言葉を思い出して、手を止めた。


「大野……?」


呼び掛けるように大野を呼ぶと、大野はゆっくりと振り向いた。


「部活ちゃんと出るから、カバン……返して?」


わたしはそう言いながら、無造作に大野の肩からぶら下がっている自分のカバンに手を伸ばした。