「そんなめんどくさいことしたくない。」


*千中新聞とは、千並中学校で配われる新聞のこと。

恋人の話や浮気現場の写真、余計なことまで載せる新聞。
自分のことが書かれてないヤツは毎月楽しみにしてるみたいだけど、書かれたヤツは渋谷に殴りこみに行くという噂だ。


そんなの、嫌じゃん。
悪者になんかなりたくねぇし…


オレはさっきよりも真面目な顔で言った。

「渋谷。オレほんとに関わる気ないから。受験で忙しいし…名前は置いとくけど、ここにはもうこない。」


自分で縄を外した。

「あ……縄抜けの術?」

「ちげーよ。」

騒いだから紐が緩くなってて、自然とほどけていたのだ。


部室を出た。




ほんと、アイツといるとろくなことがない。
だから、オレの中では友達じゃなくて、厄病神なんだ。


…でも、
そうは思っているんだけど、アイツを嫌いになれないのは、一度だけ助けてもらったような…ないようなそんな気があるからなんだろうか…