「よろしく!」

そう言ってその子は笑った。







…歯がない…



詳しく言えば、左の八重歯がない。

…一瞬笑いそうになってしまったのを抑えた。


第一印象…歯のないちびまるこ。


「瀬名くん。ということでよろしく!」

「よろしくじゃない!」

「だって…もう名前書いて提出しちゃった!」

「は!?意味わかんねー!何してんだよ!」

「こうでもしなきゃ、入ってくんないじゃん。」


呆れた、コイツまじ最悪だ。

「…あ"ー…もう!…知らない。勝手に言ってろ!…行かなきゃいいし。…入ってやったんだからもうつきまとうな!」


「あ!瀬名くん!?」



信じられない、最低最悪なヤツだ。

こんなヤツ見たことない。


まぁ名前書いてあるだけで、部活になんて行かなきゃいいし。
これでアイツが付きまとわないなら、これでいいじゃないか…。




でも、そんな簡単な男じゃないって、忘れてた。