人気のない小さな無人駅のホームに立ち、今まで乗っていた電車を見送る。 駅を出ると、そこはもう鬱蒼とした森林地帯だ。 都会とはだいぶ違うひんやりとした空気と、湿ったような木々の匂いが私を包んだ。 歩くこと約30分、やっと見慣れた湖畔に出た。 湖に少し張り出して建っている、真っ白なペンション。 私はその木製のドアをそっと引いた。