俺を冷ややかに見つめる風間がいた。


風間が何を言いたいのか、分かってるつもりだ。


今は聞きたくないけど。


｢奈都ちゃんを縛りつけて良いと思うわけ。琢哉さんに本当苛つく、奈都ちゃんに頼らないでほしい。｣


分かってるから、それ以上言うなよ。


風間を奈都ちゃんに会わせるんじゃなかった。


後悔しても遅いが。


｢分かった風間、奈都ちゃんと二人で話すから心配するな。｣


風間がこんなにしっこい男だとは思わなかった。


それだけ本気だってことなのか。


｢今度は阿紀さんの時のように、簡単に諦めませんから。｣


風間は本気で奈都ちゃんが好きなんだ。


俺はどうすればいいのだろ。


風間みたいに自分の気持ちを、ぶつける訳にはいかない。


素直になれるはずもなくて。


このまま自分の気持ちを隠して生きて行くのだろうか。


風間はいい奴だ、奈都ちゃんをきっと幸せにしてくれる。


そう思っても、仲良くしてる二人を見てると苛ついてしまう、どうしようもない男だ。


分かりたくなかった気持ちを必死に押さえた。


嫉妬なんかしてる場合じゃないだろ。