琢磨が私を探すようになった。


人見知りが激しくなり、琢哉さんが抱いても母さんが抱いても泣く。


もう私だけの琢磨。


友達の誘いなんてどうでもよくて、亜矢から連絡が来ても、受験勉強が忙しいと断り続けた。


琢哉さんに勉強を見てもらい、中間テストで数学で赤点でなかったのは始めての事。


担任にこのまま頑張れば旭ヶ丘高校に行けると言われ、その事を琢哉さんに報告すると、自分の事のように喜んでくれた。


琢磨は7ヶ月になり一段と体が重い。


琢磨を連れて検診に行かなくては行けないと言うのに。


母は面倒だから嫌だと言うし。


琢哉さんに話したら、仕事を休みにしてくれた。


その日琢磨を抱いて琢哉さんが出かけようとすると、私に助けを求めて琢磨が泣き出す。


そんな私たちを見ていた母が一言。


「奈都は学校休んで、琢哉さんと一緒に検診に行っておいで。」


そんな事していいのかな。


学校休んで甥の健康診断に行くなんて。


偽夫婦を演じる訳ですか。


私的には嬉しいけど。


琢哉さんがどんな気持ちでいるか分からない。


迷惑だったら、どうしよう。