琢哉さんが泣いている私を抱き締めると、琢磨がハンカチで涙を拭いてくれた。



「琢磨、ありがとう。」



琢磨が笑って、ほっぺにキスをした。



「ママはパパのだから。」



もう琢哉さん何をムキになってるの。



琢磨が抱っこせがむ。



「ママのお腹の中には赤ちゃんがいるんだよ。ママ抱っこ出来ないから、パパがしてあげる。」




琢磨がお腹を触り、赤たんよろちくと笑った。



一人で生もうとしていた赤ちゃん。



赤ちゃん、良かったね。



もう、ママは一人じゃない。



赤ちゃんには強い味方のパパとお兄ちゃんがいるから、安心して生まれて来て下さい。




みんなであなたが生まれて来るのを待っています。




「奈都、そろそろ帰ろうか。」



「琢磨、ご飯食べて帰ろうね。」



「わぁ〜い。」



大喜びの琢磨。



「琢哉さん明日から仕事でしょ。」



「真人のおかげで、又元の職場で働けるよ。」



真人さんがあの南可憐さんと結婚した事には、本当に驚いた。



真人さんは優しい人だから、南さんを一人には出来なかったらしい。



本当に真人さんらしいな。



色々な事があったけど、二人には幸せになってもらいたい。



南さんに土下座までさせて、謝らせた真人さんを尊敬してしまったけど、琢哉さんに言うのはやめて置こうと思う。



絶対、琢哉さんが嫉妬するから。