本当は琢哉さんの記憶が戻らなかったら、どうしようかと不安になった。



でもね、絶対大丈夫よって、強く自分に言い聞かせていたんだ。



私だけても信じなきゃ駄目だと思ったから。



「こんな大切な事忘れていたんだろうって、自分を責めた。これからはどんな事があっても奈都を一人にしない。俺たちの赤ちゃんを守ってくれてありがとう。」




うん、この子だけはどうしても守りたかった。



赤ちゃんがいたから、どんな事にも耐えられた気がする。



「ずっと一人で不安だったけど、琢哉さんが絶対思い出して会いに来てくれると信じてた。パパがいなくてごめんって、赤ちゃんに謝ってばかりだったけどね。」




あ、又赤ちゃんが動いた。




赤ちゃんもパパに会えて嬉しいんだね。



「奈都。」



「琢哉さん、会いたかったよ。」



「俺も会いたかった。」



抱き合って何度もキスをした。



この日が来た事が、堪らなく嬉しい。



「奈都の16才誕生日に籍を入れよう。」




「うん、嬉しい。」




「奈都は後悔してない。 」



何を後悔するのだろうか。



「15才の奈都はやりたい事一杯あるのに、二人の子持ちで、俺の奥さんになるから、自分のやりたい事が出来ないんだぞ。」




琢哉さんの奥さんになって、琢磨のママになるのが私の夢だから、後悔なんかするはずがない。




勉強が嫌いで高校へも行きたくなかったのが本当の気持ち。



琢哉さんは何も心配しないで下さい。



琢哉さんと、琢磨と赤ちゃんといられるなら、他には何も望まない。


私の未来に琢哉さんがいれば、それだけで幸せ。