琢哉さんが私の事を覚えていない。



忘れてしまった。



絶対そんなことある訳ない。




涙が止まらなかった。



私はどうすればいいの。



琢哉さんがこのまま何も思い出さなかったら、この子は一体どうなってしまう。



頭の中がパニック状態で、冷静に考えられない。



「哉琢さんが私の事も覚えてないんだって、私の気持ちが重かったのかな。」



母に抱き付いて、声を張り上げて泣き続けた。



赤ちゃん、ごめんね。



あなたのお父さんは、私の事忘れちゃったみたいなんだ。



あなたの事をお父さんに話せないから、ママだけでもいいかな。



パパがいなくてもいいよね。




パパがいなくても大丈夫、頑張ってそだてるから。



私もね、ずっとパパいなかっけど、強く生きて来たよ。




だから、赤ちゃんも大丈夫だよね。




ママと2人で強く生きて行こう。