母さんの顔が怖いです。



「何のんきな事言ってるの。生むにしろ生まないにしろ、父親は琢哉さんだから相談するしかないでしょ。琢哉さんもなんで避妊しなかったのよ。」




あの最後の夜に、私から迫っただなんて言えるはずもなく、初めてで必死だったからあまり覚えていない。



ただ、《琢哉さんが奈都愛してる。》




その言葉は今もずっと、鮮明に覚えていた。



この子は愛されて出来た子供なんだから。



琢哉さんそうだよね。



父さんはもう連絡しちゃったのかな。



琢哉さんは驚いたよね。



私から連絡したかったよ。



「奈都、少し休みなさい。」


眠くないのにと思いながら横になると。



すぐに眠りについた。



夢の中でもいいから琢哉さんに会いたかったけど、夢の中でも琢哉さんには会えなかった。



琢哉さん会いたいよ。



我が儘言って、ごめん。



でも、会いたい。