お母さん、そんな顔をしないで下さい。


溢れそうな涙を必死に堪えてるんですから。


「琢哉君はそれでいいの。」


はい。


覚悟は出来てます。


「奈都ちゃんには普通の高校生活を送ってもらいたい。九州に帰って琢磨と二人で頑張ります。」


お母さん、お願いだから何も言わないで下さい。


何か言われると辛くなるから。


「琢哉君は本当にそれでいいのね。琢哉君と琢磨には幸せになって貰いたい。阿紀の一周忌には必ず帰って来てね。」


必ず帰って来ます。


「それは勿論、必ず帰って来ます。」


お母さん、あなたの息子になれて良かったです。


本当に幸せでした。


「奈都に話さないと駄目だからね。奈都も琢哉君も本当に素直じゃないんだから。」


お母さん、意味が分かりませんけど。


「俺は素直に生きてるつもりです。」


何か企ててませんよね。


「後でくれぐれも後悔しないようにね。」


お母さん何を言いたいのだろ。


後悔するかも知れないけどこれでいい。


俺には琢磨がいる一、人じゃない。


阿紀、俺の判断は間違ってないよな。


阿紀、俺たちを見守ってくれよ。