俺は悩んだ末九州へ行く事を決めた。


奈都ちゃんと遠く離れる事になれば、奈都ちゃんを忘れられるはず。


奈都ちゃんの為にも俺がいなくなる事が良いと思ってるのに、奈都ちゃんと別れる現実がこんなにも辛いとは思わなかった。


お母さんが二人だけで話をしたいと言うので、仕事帰りにお母さんの店に寄った。


「お店は健ちゃんに任せてあるから大丈夫。ここじゃなんだから二階へ行きましょうか。」


お母さんの顔が怖い気がするけど。


「早速なんだけど、奈都とはどうなのよ。 」


どうと聞かれても困る。


「奈都ちゃんとですか、まぁ普通です。」


心を見抜かれないように必死。


「琢哉君は奈都が好きだと、私は思ってるけど。」


好きだ。


「好きですけど、それは。」


「琢哉君がいいたいことは、奈都は中3だから一緒になる事は絶対無理。」


そうです。


「俺もそう思っています。」


お母さんが話を変えた。


「あのね、突然なんだけど、私結婚しようと思うの。」


ちょっと待って下さい。


「お母さんが結婚をするんですか。 」


話が飛躍し過ぎて、ついていけない。


「私は結婚した事ないから、琢哉君みたいに再婚ではないでしょ。」


そうなんですか。


お母さんは豪快に笑ってるけど、


お母さん、笑ってる場合ですか。


奈都ちゃんは、お母さんの結婚を知っているのかな。