母さんは私の全てが分かっているのだと思う。


だから、絶対隠し事は無理。


「奈都は素直じゃないから苦労するね。南さんに奥さんが務まる訳ないのに。母さんは自分の気持ちのまま、素直に生きるからね。」


母さんが素直に生きるってどう言う意味。


近頃母さんがおしゃれして出掛ける事が増えた。


まるで恋してるみたいなんだけど。


恋?


まさか。


母さんが再婚したりして。


父親が出来る訳ですか。


無理、無理って言うか嫌だ。


別荘へ行く準備をしながら、母の事ばかり考えていた。


次の朝、私と琢磨は琢哉さんの車で別荘へ向かった。


真人さんの車には、直人と秋人それぞれの彼女が乗っている。


南さんはさすがお嬢様、運転手つきの車で来るらしい。


別荘には食事を用意してくれる人もいて、住む世界が違い過ぎます。


琢哉さんは何も感じないのだろうか。


弱音をはいたら駄目。


琢磨の為に頑張るぞ。


戦うと決めたのだから。