真人兄と奈都が家に来たのは夜遅くだった。


「遅かったな。」



「琢哉さん南さんを家まで送っていったから、中々帰って来なかったんだ。」



奈都が家に入ろうとしない。



「奈都、入っておいで。」



部屋に入ると奈都が俺に抱きついた。



「苦しくてどうにかなりそうだよ。南さんと琢哉さんが結婚するだなんて、絶対許さない。お姉ちゃんが可哀想過ぎる。」



俺に抱きつき大泣きする奈都を見て、真人兄が驚いてる。



おい、なんか誤解してないか。



「秋人と奈都ちゃんは、いつからそんな関係になったんだ。」



俺と奈都が。



真人兄どういう意味。



「どう見たって、秋人と奈都ちゃん恋人同士に見えるぞ。」



あ、そう言う意味ね。



「俺と奈都は友達同士みたいな関係。奈都に惚れたけど直ぐに振られし、今は奈都の幸せを願う、優しい友達。」



「秋人おまえはいい奴だな。さすが俺の弟だ。」



不思議気持ちなんだ、奈都が愛しくて守ってやりたくなる。


泣いて苦しむ奈都を救ってやりたいと思う。



奈都の事を妹みたいに思ってるのかも知れない。