奈都ちゃんの涙をそっと拭った。


俺がいることを忘れないでほしい。


「奈都ちゃんは一人じゃない。俺も秋人もいるから、頼ってほしい。」


俺たちはのドアをノックして病室へ入ると、南さんが琢哉さんに腕を絡め、嬉しそうにしていた。


琢哉さんのその優しさは罪だよ。


俺としたら、南さんと琢哉さんが一緒になってくれたら嬉しいけど、奈都ちゃんが琢磨君と離れられるだろうか、心配だし。


「真人さん、今度私たちが出掛けて来ていいかな。」


ため息が出た。


「食事まだでしてね。どうぞ行って来てください。奈都ちゃんいいよね。」


奈都ちゃん、大丈夫。


「どうぞご自由に。」


「琢磨君お願いね。琢哉行こう。」


琢哉って、言ったよな


いつの間に、呼び捨ての関係になったんだ。


「分かった。」


南さんと一緒にになったら、琢哉さん尻に敷かれるな。


他人事だからいいや。


俺じゃ無理。


奈都ちゃんが南さんを嫌う理由を、俺は知りたくなった。