琢磨の夜泣きで何回も起きるから、学校で居眠りばかりして担任に怒鳴られた。

先生の怒鳴り声も子守唄に聞こえる。


「このままだと、何処の高校も行けないぞ。」


やっぱり無理なんだ。


分かってたけど、かなりへこむ。


「塾へ行くか家庭教師を頼んだらどうだ。」


塾は琢磨がいるから無理だけど、家庭教師を琢哉さんに頼んだから大丈夫。


「家庭教師を頼む事にしました。」


「そうか、仁藤がやる気になって俺は嬉しいよ。」


授業が終わると家まで急いだ。


早く帰らないと母さんに叱られる。


「この頃すぐ帰るけど、店の手伝いしてるの。」


「まぁ、そんなとこかな。」


琢哉さんは昨日遅く帰って来たから顔も見ていない。


早くマンションに帰って琢哉さんに会いたかった。


琢哉さん何が好きなんだろ。


夕食は琢哉さんの好きな物にしようかな。


「おい、奈都!」


私を呼び捨てにするのは幼馴染みの相馬柊人。


「何か用事、急いでるんだけど。」


「たまには一緒に帰ろうと思ってさ。」


一死に言い訳を考えた。


「悪いけど無理。柊人と遊んでる暇はないの。」


お願いだから私に構わないで、本当にめんどくさい男。


夕食の食材を買わなきゃいけないし。


邪魔だから、離れてよ。