何も知らないから、琢哉さんさんは南さんを良い人だと言うんだ。


南さんの本心を知ったら、琢哉さんは驚くと思う。


でも、これだけは言わないと気がすまない。


「南さんだけは絶対、嫌。」


琢哉さんに泡だらけのスポンジをぶつけた。


「奈都ちゃん!」


琢哉さんの怖い顔を始めてみた。


なんで、琢哉さんが怒るの。


私は本当の事をいったたげ。


「琢哉さんは何も知らないから、そんな事言えるんだ。」


涙が溢れたまま、琢哉さんの胸をドンドン叩いた。


「南さんは奈都ちゃんが思ってるような人でないよ。奈都ちゃんが人を悪く言うなんて、いつもの奈都ちゃんらしくない。」


琢哉さん、騙されてバカみたい。


悔しくて、もう訳の分からない感情まで溢れ出て、泣きながら叫んだ。


「いつもの私って何。何でも我慢して笑ってろって事。」


もう本当にやだ。


簡単に騙される、琢哉さんがゆるせない。


「奈都ちゃんは疲れているんだよ。琢磨の面倒押し付けてる俺が悪いんだ、奈都ちゃんに甘えてばかりで本当にごめん。」


そんな事思ってないし、その事を怒ってる訳でもない。


琢磨が可愛いから見てるだけ、疲れてなんかいない。


決めつけないでよ。


もう何が何だか分からなくて、その場に座って泣き叫んだ。

琢磨はお姉ちゃんの子だし、大好きな琢哉さんの子供だか愛しくて可愛いの。


「琢哉さんのバカ、もう知らない。琢哉さんなんか大嫌い。結婚でもなんでもしちゃえばいいんだ!」


悔しい、琢哉さんに分かって貰えないのが悔しくてたまらない。


好きにすればいい。


もうどうでもいいや。


疲れた。