家に着いてからも、鞄のことが頭から離れなかった。


「それでさぁ、ひどいと思わない?」


夕飯の支度に多忙を極める母さんが、背中で返事する。


「それで、かなは、なんて言ったの?」


しばしの間を置いて答える。