「待ってたの。」


「誰を?」


間違っても、あんたじゃないし!


「さぁ…?」


「ちぇっ。もったいぶってさ。」


「じゃ、あたし部活だから。」


口をとがらせた大地の前を横切ろうとしたその時。


「オイ、佐久間。」


肩に掛かるあたしの鞄の紐を引っ張る男子。


「なっ、何?」


「お前さ、その鞄、すっげーいいよな!」


はっ?獲物を仕留めたよなぎらつくアイツの目。

「ブランドだもん。」


一応、言うておく。


「でしょうね。コイツ、前から言ってたんすよ。」


「なんて?」


「あの鞄、絶対貰うからって。」


…たじろいだ…。


信じられないアイツの友のセリフ。