トイレに行きたいなんて嘘。 あの時計は買ってあげられないから、できるだけ似たものを…と思って。 悠ちゃんには外に出てもらって、内緒で買おうと思ってるんだ。 でも、あんまり時間はかけられないから早く決めなきゃ。 「…あっ、これかっこいいかも」 悠ちゃんが好きだと言っていた黒で、飾りとかはなくシンプルなもの。 値段は3000円。 さっきのとはデザインが違うけど…気に入ってくれるかな…。 「…あの、これください」 あたしはその時計を持ち、レジに向かった。