先生は、まだ来ていなかった。 美術室は生徒たちの声で、なんとも騒がしい。 でも、この騒がしさは、さっきみたく心地よいものではない。 クラスメートたちは、友達同士でひとつの机にたむろいながら、お喋りをしている。 そんな中を、自分の席まで歩いていくのは、本当にいやだ。 私が通った後に、何かこそこそと話をし始めたり、くすくすと笑い出したりされるのは、精神的によくない。 たとえ、私のことを言っているわけではなくとも、弱った心には、それらは、おおいにダメージを与えてくれる。