ナツの誘惑




「頼りになるのお前だけなんだよ」




そう言った篤志の言葉は、あっさりとオレの中から消える



梅雨のうだりと重い雨

気持ちとは関係なく
本能はあらわになる



非常階段の踊り場に吹き込んだ風は、いくつもの水滴を二人に浴びせ

ブラウスに透ける下着のラインには、思わずドキッとさせられた



なんでオレがこいつに…

こんな何も知らなかったような女に…



変なプライドだけで、どうにかできるような状態でもない

突き出すような胸元に手を添えようとすれば、那都の手がオレの腕をグッと掴む




「お前ってさ…元々こういう奴だったの?」


「ううん、違うよ。緒斗が私にいろんな感覚教えるから……。でも、まだダメだよ、クスクスッ」




押さえ付けようとする腕をスッとすり抜けると、那都はオレの気持ちを弄ぶように振り返りながら笑みを見せ

オレの腕に生暖かい感覚だけを残して去って行った