ナツの誘惑





憂鬱な季節が終わり

いつしか空には入道雲が流れて行く



夏の始まりと蝉の声



乾いた風に涼む日がどれだけ過ぎても

那都はオレの所に来なかった




「神崎緒斗〜、…っとに、あいつはまたいないのか。欠席なのかサボってんのかどっちだ!」




非常階段に仰向けに寝転べば

広葉樹の隙間から入る光が、チカチカと視界を邪魔する



目を閉じて浮かぶのは

恋の的ではなく欲望の餌食



篤志とうまくいってるのかとか

そんなことにも

別に関心はなくて



釣られるだけ釣られた状態なのが

変に痛いだけ