「ストップ」

私は誰かに引っ張られた。

「ーっ前川!」

…え?前川?

「何してんの、大橋。お前らしくないじゃん」

私は状況がよく分からないまま大橋に肩を抱かれてた。

「邪魔すんなよ!いいとこだったのに…」
「俺にはいやがってるように見えたけど?」

大橋君は悔しそうにして裏庭から立ち去った。

「おい、大丈夫か?」
「怖かったあ…っ」

一気に気が抜けて私はその場に座り込んだ。涙があふれでてきた。

「もうちょっと早く来ればよかったな」
と言って私の頭をぽんぽんと叩いた。

「助けにきてくれたの?」
「たまたま通ったの。勘違いしてんじゃねーよ」

…来てくれたんだね。
どうしてわかったんだろう。
こんなに愛しくてこんなに恋しいと思う人は初めてだった。