もう暗くなった道を
私は前川颯人についてく。

こんなの前の私だったら
チャンス!とか言って
いっぱい話しかけてるんだろう。

でも今の私はそんな余裕ない。
心臓はバクバクうるさい、
恋する乙女かのように。


「ねえ、後ろじゃ送っていってる意味ないから。横嫌ならせめて前歩けよ」
「あ、はい…」


なんか言いなりですよ?
こいつなりの優しさってやつ?
そんなんに見せかけて後ろからなんかするとか?
…しそうだよね(笑)


「ねえ、どんだけ警戒してんの?」
「え」
「別に何もしねーよ。お前みたいなやつ襲っても萎えるだけだし」

またこいつはムカつく事
言ってきやがって…
「すいませんね、幼児体型でっ」
「…ぶっ」

笑った…こいつが。

「認めんのかよ?あははっ」

なんか複雑だけど
こいつ笑うんだ。
「笑うんだね、あんたでも」
「あのね一応俺も人間なんで」

そうこうしてる間に私の家に到着した。


「じゃ、さよなら」
言わなきゃ…お礼。
「あのっ!」

前川颯人は振り向いた。
「今日保健室連れていってくれたり送ってくれたり…ありがとうございました」
私は頭を下げてお礼した。
…静かなんだけど。
そう思って顔をあげたら
頭をくしゃくしゃされた。
「おやすみ」
笑ってそんな言葉を残して
暗闇に消えていった。