「無視すんなよ!」


石井が正面に回り込んできた。

ひゅーう!と勝野や福島がちゃかす。


「うるせえよばか!」


石井がかみ付いた。

その声さえ、聞きたくない。
泣きそうになる。


「…………さい」

「え?なんて?」

「うるさい!」


私は立ち上がって教室を出た。


「相沢?」

「亜紀ちゃん?」


圭行けよ!
言われなくても行くっつーの!

そんな声が聞こえた。


来なくていいっつーの!


「待てよ相沢!」


石井が走って追い掛けてきた。


廊下に顔を出してなんだなんだと私たちを見る人がたくさんいてはずかしい。


「相沢!廊下を走るな!」

「ごめん先生!」

「石井!」

「だれか相沢止めて!」

「お前も止まれ!」