第二ボタンと春の風



慎重にドアを開け、中に入る。

石井はドアに背を向けるように寝ていた。


「買い物済んだの」


私をお母さんと勘違いしてるらしい。

ばか。かわいい。


「残念でした」


私がそう言うと、石井がガバッと起き上がって、口をぱくぱくさせながら指を指してきた。


「あ……相沢!」

「…元気そうでよかった」


そう笑うと、奴は熱のせいか顔を赤くしてベッドに倒れた。


「あー!
大丈夫?」

「大丈夫じゃねえよ!
オレ、髪はぐちゃぐちゃだし、
着てるジャージは古いし」


来るなら来るってメールくれよな、と石井はつぶやいた。