十五の妄影(もうえい)

クラスメイトの半分、二十人は犠牲になっただろうか。

その頃になってやっと。

「開いた!」

恐ろしく立て付けの悪かった教室の扉が開く。

そこから我先にと逃げ出す生き残りの生徒達。

中には勢いあまって転倒し、後方からのクラスメイトによって踏みつけられる女子生徒もいる。

その女子の足を、妄影が掴む。

「放せ!放せ!放せよぉっ!」

女の子らしからぬ乱暴な口調で、彼女は掴まれていないもう片方の足で妄影の顔を何度も蹴飛ばした。

「放せよ化け物!石田ぁ!お前が弱いからいじめられるんだろ!逆恨みしてんじゃねえよ!キモイんだよてめぇっ!」

いじめていた事実を棚に上げ、僕を見苦しく罵倒する彼女。

「じゃあ」

僕は冷酷な眼差しを彼女に向けた。

「君も弱いから妄影に食われるんだ…消えちゃえ」