十五の妄影(もうえい)

救いを求めながら、悶絶しながら、妄影の底の見えない漆黒の穴の中へと消えていく男子生徒。

その苦悶の表情は、クラスメイトの戦慄を煽るに十分なものだった。

「いやぁああぁぁぁあぁっ!!!」

「うぁぁあぁああぁあぁっ!!」

扉はまだ開かない。

というか、恐ろしいのに妄影が仲間を捕食する姿に魅入られてしまう。

仲間が犠牲になる姿に目を奪われ、扉を開ける手すら止めてしまっていた。

「石田!石田!なぁ石田ぁっ!」

一人の男子。

彼は僕に駆け寄り、その足元にひれ伏した。

見栄も外聞もなく、無様に僕の目の前に土下座する。

「なぁ石田!あの化け物お前が出したんだろ?お前が操ってんだろ?なぁもうやめてくよ!許してくれよ!」

「…化け物?」

僕はかつて彼らにされていたように。

冷ややかな目線で土下座する男子を侮蔑の眼差しで見下した。