十五の妄影(もうえい)

二人目の犠牲者。

もう夢でも幻覚でもない。

これは現実。

教室の中で起こっている惨劇。

その見せ付けられた光景が、クラスメイト達の混乱に拍車をかける。

「早く開けろよ!」

「何やってんだよ!出ろ、出ろ!」

「早くしてよ、早く、早くぅぅうぅぅっ!!」

元々立て付けの悪かった教室の扉。

それが混乱した精神状態で開けようとしているのだから、余計になかなか開かない。

その間に、次の獲物を求めて妄影が蠢く。

次なる狙いは手近な男子生徒。

「こ、このっ…来るな、来るなぁっ!」

彼は気丈だった。

近くにあった椅子を掴み、両手で持ち上げて妄影の頭を殴りつける!

グニュッ!

まるで軟体動物を殴ったような感触と音。

妄影の頭はひしゃげ、その思った以上に脆い肉体は、簡単に裂傷を作られて、不快感を増長するような体液を大量に吹き散らした。