十五の妄影(もうえい)

時間を止める魔法が解けた。

そんな風に思えるほどに、クラスメイト達は一斉に動き出した。

我先にとばかりに教室の前後…その扉に殺到する。

理性的に譲り合うなんて余裕は最早なかった。

とにかく出たい。

逃げたい。

ここから立ち去りたい!

その一心で押し退けあうように扉に駆け寄り、その結果十人以上が戸口につっかえてしまうという状況。

見苦しい事この上ない。

そしてその光景が、更に僕の感情を煽った。

タッ!

妄影が床を蹴る音。

同時に、まるで蜘蛛のように。

妄影は教室前方の扉に殺到するクラスメイトの頭上…天井に逆さまに張り付いた!