十五の妄影(もうえい)

蛇が小動物を丸呑みする姿を彷彿とさせる。

口の部分…その隙間から、唾液とも体液ともつかない粘液をだらしなく垂らしながら、その体を獲物の形にデコボコと変形させつつ。

妄影は男子生徒を飲み込む。

漆黒の胎内へ。

絶望の深淵へ。

僕の母さんにしたのと同じように。

…粘着質の、不快な嚥下音が教室に響き渡る。

他の生徒達は、青ざめた顔をしてそれを見ていた。

見たくはなかっただろう。

何せクラスメイトが『捕食』される姿だ。

気分のいいものじゃない。

しかし見ておく必要があった。

…みんな、本能的に理解していたんだ。

この後どんな展開が待っているのかを。

「さぁ」

僕は、恐らくはゾッとするであろう、薄笑いを浮かべた。

「次は誰が飲み込まれる?」