十五の妄影(もうえい)

蝉の蛹の背中から成虫が羽化するように。

僕の背中から真っ黒な影が抜け出した。

まるで幽体離脱みたいに。

黒い人影が僕の中から抜け出す。

…クラスの全員が凍りついた。

思わず立ち上がる者。

逆に驚愕のあまり尻餅をつく者。

手にしたシャーペンを取り落とす者。

時間が止まったみたいに動けなくなる者。

反応は様々。

だけど共通していたのは、誰もが皆、戦慄の表情だった。

この世にこんなものが存在するのかという顔。

理解の範疇を超えた存在に、脳の活動が一時停止しているようでさえあった。

…だが、そんな事は僕にとってはどうでもいい。

このクラスの人間は…男でも女でも、みんな同罪だ。

みんな共犯者だ…!