十五の妄影(もうえい)

「え、じゃねぇよ」

僕の反応が気に入らなかったのか、彼は苛立つ。

「お前と一緒に歩いてた女子大生だよ、女子大生。俺んちに連れてくるって約束しただろうが」

約束なんてしていない。

暴力に次ぐ暴力の末、彼らが一方的に僕に押し付けただけだ。

だけどその事を言うと。

「ふざけんなよお前!」

制服の襟を掴まれ、僕は乱暴に揺さぶられた。

僕よりも身長の高いその男子生徒は、僕の制服のボタンが千切れるのもお構い無しに顔を近づける。

…煙草臭い息が、僕の顔にかかった。

「お前、俺との約束破る気か!?ああ!?」

大声を張り上げ、脅迫するように僕を揺さぶる男子生徒。

「約束も何も…お前らが…一方的に…ぐ…」

胸ぐらを掴まれた苦しさに、僕は声を詰まらせた。