僕は佐奈さんの言葉を思い出していた。

何でもできる力だからこそ、扱いには気をつけないといけない。

どんな相手でも傷つけられる。

だからこそ、簡単に扱っては駄目。

…きっと佐奈さんの言う通りだと思う。

そして、軽々しく妄影を扱ってしまったばかりに、僕は既に昨夜過ちを犯してしまっていた。

一人の食卓が、何よりの証拠。

もう、過ちは繰り返してはならない。

それが、僕が妄影を生み出してしまった事に対する責任というものだ。

「…もうこんな時間か…」

自分で作った目玉焼きとトースト。

その皿を片付け、鞄片手に僕は玄関へと向かう。

学校へ。

昨日あれほどの目に遭わされたにもかかわらず、僕は学校を休まなかった。