十五の妄影(もうえい)

ひとしきり泣いて、気分が落ち着いたのだろうか。

その頃にはお互い気恥ずかしくなって、ぎこちなくなってしまっていたけど。

「そろそろ…帰るね」

その場の雰囲気を変えたくて、私は苦笑いしながら立ち上がった。

名残惜しそうに私を見上げる晋作君。

けど。

「見送り、いいよ。そんな赤い目で外には出られないでしょ?」

私がそう言ってからかうと、彼は恥ずかしそうに頷いた。

「お母さんまだ帰ってこないけど、一人で大丈夫?」

「はい…食事は適当にとりますから」

晋作君はそう言って微笑んだ。

…玄関まで二人、手を繋いで歩いた。

そして玄関の所で。

「またね」

私はもう一度、晋作君と唇を重ねた。