十五の妄影(もうえい)

「ねぇ、佐奈さん」

突然。

晋作君の方から話しかけてくる。

「もし佐奈さんに、何でもできる力があったらどうしますか?」

「え?」

何だか漠然とした質問だ。

「何でもって…例えば?」

「んー…」

少し目線を下げて考える晋作君。

「どんな強い奴でも敵わない力。昨日まで自分には太刀打ちできないと思っていた奴にさえ、簡単に勝てる力」

「子供の発想だねえ」

私がクスクス笑うと、彼は少し唇を尖らせた。

「いいから!答えて下さい」

「んー…少し使い道に迷う力だね…別に私、喧嘩とか好きじゃないから」

「……」

晋作君は、また視線を下げた。