十五の妄影(もうえい)

それからの晋作君は別段変わった所もなく、いつもと同じように勉強していた。

二時間ほどの勉強が終わり、今日の私の授業は終了。

晋作君は椅子に、私はベッドに腰掛けて話をする。

ふと時計を見ると、午後九時。

「お母さん帰ってこないねぇ」

私は呟くように言う。

晋作君はそれに答えるでもなく、ぼんやりとしていた。

「帰ってこなきゃ晩御飯食べれないね」

「その時はコンビニにでも行って弁当買って来ますよ」

笑う晋作君。

こうやって笑顔を見せると、晋作君は本当に年相応の、可愛らしい感じさえする少年だった。