十五の妄影(もうえい)

それに…。

私は意味もなく呼吸の回数を自ら制限してしまっていた。

この空気。

この張り詰めた…何というか緊張感というか…。

今日の石田家は、ピンと張った糸のようなものを感じるのだ。

険悪な仲の者同士が対峙している中に、放り込まれたような緊迫感。

微弱ながらもそんな気配が、まだ家の中に残っている。

何だろう…。

お母さんが帰っていないっていうのは嘘で、晋作君、お母さんと喧嘩でもしたのかもしれない。

で、お母さんは…出て行った?

それも少しおかしいような気がした。