十五の妄影(もうえい)

敢えて触れなかったし、気づかないふりをしていたのだけど。

私がプレゼントしたスニーカーは、もう泥だらけになっていた。

晋作君自身も、何だか体に青痣のようなものができていた。

…スニーカーについては、ある程度予想は出来ていた。

きっと嫌がらせをされて、汚されたんだろう。

やり方が陰湿だ。

私が中学や高校の頃にもイジメはあったけど、こんな性質の悪いやり方はなかったように思う。

そして晋作君の体の痣…。

無視されたり嫌がらせされたりはしているらしいけど、暴力を振るわれたという話は聞いた事がなかった。

でもあの感じだと、イジメはエスカレートしているのかもしれない。

…何とかしてあげたいけど、私はたかが家庭教師の身。

部外者だ。

図々しく介入する事はできない。

その事がもどかしかった。